御謙遜ごけんそん)” の例文
なんとも御謙遜ごけんそんで、申上まをしあげやうもありません。大先生だいせんせい貴下あなたくつて、うして、五位鷺ごゐさぎきざめます。あのふねうごかせます。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
後嵯峨天皇は英邁えいまいであらせられたが、幕府の力で即位されたので、関東に対し御謙遜ごけんそんになっておった。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
「どうもそう、御謙遜ごけんそんでは恐れ入る。かえって手前が痛み入る。どうか御遠慮なく、さあどうぞ」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
御謙遜ごけんそんでしょう。大酒家の定評は、貴作の詩のように、隠れもなくうたわれておりますのに』
梅颸の杖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今日は大変な御謙遜ごけんそんで。……ところでこの幽霊の餌を、課長の机の上におく事にしたいですね。まちがうといけないから、他の書類は引出ひきだしへでもしまって頂いて、机の上はこの餌だけを
四次元漂流 (新字新仮名) / 海野十三(著)
同行一 御謙遜ごけんそんなるお言葉に痛み入ります。なおさらゆかしく存じます。
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
斯様かような刀には我々共が極めをつけるは恐れ多いと本阿弥様が御謙遜ごけんそんになり、主人もまた、極めをつけていただくことが嫌いなのでございまして、ただ宝刀としてしまって置きましたのでござりまする」
御謙遜ごけんそんじゃ。それがしなど、年のせいか、近頃は、うるさい故事こじ有職ゆうそくなどは、とんと、忘れがちで困る。……ならば、こちらから、音物をたずさえて、教えてもらいたいくらいだ。ははは』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それは御謙遜ごけんそんでござろう」
御謙遜ごけんそんでげしょう。のう、みんな」
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ははは。御謙遜ごけんそんであろう」
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、御謙遜ごけんそんを」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御謙遜ごけんそんで」
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)