御膝おひざ)” の例文
身は桜町家さくらまちけ一年いちねん幾度いくどの出替り、小間使こまづかひといへば人らしけれど、御寵愛ごてうあいには犬猫いぬねこ御膝おひざをけがす物ぞかし。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『あなたも随分ずいぶん苦労くろうをなさいました……。』そうって、わたくしってなみだながされたときは、わたくしかたじけないやら、難有ありがたいやらでむねいっぱいになり、われをわすれてひめ御膝おひざすがりついてしまいました。
ある時はシェーンブルン宮殿の床にすべって、小さい公女に助け起され、「あなた親切ね。お嫁にもらおう——」と言ったり、オーストリアの皇后の御膝おひざの上に登って、大きな音をさせてキスしたりした。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
暫時しばしがほどもまじはりし社會しやくわいゆめ天上てんじやうあそべるとおなじく、いまさらにおもひやるもほどとほし、櫻町家さくらまちけ一年いちねん幾度いくど出替でがはり、小間使こまづかひといへばひとらしけれど御寵愛ごちようあいには犬猫いぬねこ御膝おひざをけがすものぞかし。
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)