ノチ)” の例文
朝から、姫の白い額の、故もなくひよめいた長い日の、ノチである。二上山の峰を包む雲の上に、中秋の日の爛熟した光が、くるめき出したのである。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
また助詞の「の」「ノボル」「ノチ」「殿トノ」などの「ノ」は「能」の類の文字を用いて、勿論もちろん以上の二つと別である。
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
是ヲ死地ニ置イテシカシテノチク——と。それがしは幼より兵法を学び、丞相すら事にあたってははかりごとをこの馬謖に相談されておるのだ。だまって我が命令のようにすればよい
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
若きらが たち征きてノチ 絶えゐしが、まさに はげしきたゝかひに入る
鵠が音:01 鵠が音 (新字旧仮名) / 折口春洋(著)
朝から、姫の白い額の、故もなくひよめいた長い日の、ノチである。二上山の峰を包む雲の上に、中秋の日の爛熟した光りが、くるめき出したのである。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
この町の宿営部隊たちしノチ、日ごろしづけく 秋晴るゝなり
鵠が音:01 鵠が音 (新字旧仮名) / 折口春洋(著)
朝から、姫の白い額の、ユヱもなくひよめいた長い日の、ノチである。二上山の峰を包む雲の上に、中秋の日の爛熟ランジユクした光りが、くるめき出したのである。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
御陵山ミハカヤマ 水際ミギハ夕づく色 深し。一日しづけき歩みのノチ
鵠が音:01 鵠が音 (新字旧仮名) / 折口春洋(著)
天武の夫人、藤原大刀自オホトジは、飛鳥の岡の上の大原に居て、天皇に酬いてゐる。此歌の如きは「降らまくはノチ」とのからかひに対する答へと軽く見られてゐる。
水の女 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其をノチ乳母オモたちが聽いて、氣にしたことがあつた。山ごもりして居ると、小屋の上の崖をどう/″\と踏みおりて來る者がある。ようべ、眞夜中のことである。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
其をノチ乳母オモたちが聽いて、氣にしたことがあつた。山ごもりして居ると、小屋の上の崖をどう/″\と踏みおりて來る者がある。ようべ、眞夜中のことである。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
天武の夫人、藤原大刀自オホトジは、飛鳥の岡の上の大原に居て、天皇にむくいている。この歌のごときは「降らまくはノチ」とのからかいに対する答えと軽く見られている。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
明治の璃寛などは、正に其人であり、先代梅玉も、橘三郎も、正に其に当る点が多かつたし、魁車の一足前を歩いて居た多見之助ノチ多見蔵なども、其役々を正確に演じてゐる。
もつと変つた話を聞かせぬかえと誘はれて、身分に高下はあつても、同じ若い同士のことゝて、色々な田舎咄ヰナカバナシをして行つた。其をノチ乳母オモたちが聴いて、気にしたことがあつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
さすがに我強ガヅヨい刀自たちも、此見覺えのある、美しい箱が出て來た時には、暫らく撲たれたやうに、顏を見合せて居た。さうしてノチアトで恥しからうことも忘れて、皆聲をあげて泣いたものであつた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
さすがに我強ガヅヨい刀自たちも、此見覺えのある、美しい箱が出て來た時には、暫らく撲たれたやうに、顏を見合せて居た。さうしてノチアトで恥しからうことも忘れて、皆聲をあげて泣いたものであつた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
さすがに我強ガヅヨい刀自たちも、此見覚えのある、美しい箱が出て来た時には、暫らくたれたやうに、顔を見合せて居た。さうしてノチアトで恥しからうことも忘れて、皆声をあげて泣いたものであつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)