式亭三馬しきていさんば)” の例文
十返舎一九じっぺんしゃいっく式亭三馬しきていさんばが、滑稽物をひっさげて、戯作界へ現われたのは馬琴にとっては容易ならない競争相手といってよかろう。
戯作者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
傍より言をはさみて曰、式亭三馬しきていさんばが大千世界楽屋探しは如何いかんと。二三子の言の出づる所を知らず、相顧みて唖然あぜんたるのみ。(一月二十七日)
式亭三馬しきていさんばの「客者評判記」のうちに、襟巻をした町人らしい人物が炬燵こたつを前にして、春狂言の番附を見ている挿画がある。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
山東京伝さんとうきょうでんであれ、式亭三馬しきていさんばであれ、十返舎一九じっぺんしゃいっくであれ、為永春水ためながしゅんすいであれ、直接に当時の実社会を描き写して居るものが沢山ありますが、馬琴においては
それに反して日陰の薄暗い路地はあたかも渡船の物哀ものあはれにして情味の深きに似てゐる。式亭三馬しきていさんば戯作浮世床げさくうきよどこの挿絵に歌川国直うたがはくになほが路地口のさまを描いた図がある。
路地 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
……ことに女のは、こう云う処で申しては如何いかがだけれど、現に私の家内の母と祖母とは戒名がおなじです。坊さん何を慌てたんだか、おまけにそれが、……式亭三馬しきていさんばの浮世床の中にあります。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白粉おしろい下のような美顔水びがんすいというような化粧の水が沢山ありますが、昔では例の式亭三馬しきていさんばが作った「江戸の水」があるばかりなのが、明治になって早くこの種のものを売出したのが「小町水」で
江戸か東京か (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
それに戯れる若者の様子を目撃しては、以前のようにこれも式亭三馬しきていさんばが筆のすさみのそのままだと笑ってばかりはいられないような気になるのであった。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
式亭三馬しきていさんばが何年か前に出版した滑稽本の中で、「神祇じんぎ釈教しやくけう、恋、無常、みないりごみの浮世風呂うきよぶろ
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その翌年の夏、銀座の天金の主人から、暑中見舞いとして式亭三馬しきていさんば自画讃の大色紙の複製を貰った。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それに反して日陰の薄暗い路地はあたかも渡船の物哀ものあわれにして情味の深きに似ている。式亭三馬しきていさんば戯作げさく浮世床うきよどこ』の挿絵に歌川国直うたがわくになお路地口ろじぐちのさまを描いた図がある。
式亭三馬しきていさんばが何年か前に出版した滑稽本こっけいぼんの中で、「神祇しんぎ釈教しゃっきょうこい無常むじょう、みないりごみの浮世風呂うきよぶろ
戯作三昧 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
唖々子は弱冠の頃式亭三馬しきていさんばの作と斎藤緑雨さいとうりょくうの文とを愛読し、他日二家にも劣らざる諷刺家たらんことを期していた人で、他人の文を見てその病弊を指擿してきするにはすこぶみょうを得ていた。
十日の菊 (新字新仮名) / 永井荷風(著)