幸福さいはひ)” の例文
ちつとばかしお給金が殖えたつて大阪なんかいやだ/\と不平を云ひ/\轉勤したのですけれど、人間何が幸福さいはひになるか分りやしませんわね。
見学 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
先生がお忙しいのは、先生自身に取つても、お客に取つても勿怪もつけ幸福さいはひであつた。孰方どつちも損をしないで済む事なのだから。
一三一上皇じやうくわう幸福さいはひいまだきず。重盛が忠信ちかづきがたし。今より一三二支干えとめぐりを待たば、重盛が命数よはひ既に尽きなん。かれせば一族の幸福さいはひ此の時に亡ぶべし。
……然し、この悲しきお利代の一家にも、思懸けぬ幸福さいはひが湧いて来た! 智恵子は、神の御心に委ねた身ながらに、ひとりぼツちの寂しさを感ぜぬ訳にいかなかつた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
かみほとけがお守りなすつて此上もない幸福さいはひが參つた事で御座りませうとお金も共に打喜うちよろこび是より後は營業を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
幸福さいはひ多かるべきかな舟の上の活計みすぎや、日に/\今朝の如くならんには我は櫓をとり舵を操りて、夕の霧、あしたの潮烟りが中に五十年の皮袋を埋め果てんかなと我知らず云ひ出づれば
鼠頭魚釣り (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
今尚、家郷あるものは幸福さいはひなるかな。
ニイチェに就いての雑感 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
「けふは幸福さいはひをさがしに行きます」
接吻 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
ふたゝび返らぬ幸福さいはひを見る。
我が愛する詩人の伝記 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
ああ 小さな幸福さいはひ
星:〔遠い鈴〕 (新字旧仮名) / 森川義信(著)
天地あめつち幸福さいはひありき。
夏の日 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
貧福をいはず、ひたすら善をまん人は、その身に来らずとも、子孫はかならず幸福さいはひべし。一〇三宗廟そうべうこれをけて子孫これをたもつとは、此のことわりの細妙くはしきなり。
はえぞ、價値あたひぞ、幸福さいはひぞ。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
幸福さいはひのよみがへり。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)