平壌へいじょう)” の例文
旧字:平壤
倭将の一人——小西行長はずっと平壌へいじょう大同館だいどうかん妓生ぎせい桂月香けいげつこう寵愛ちょうあいしていた。桂月香は八千の妓生のうちにも並ぶもののない麗人である。
金将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
私は第一軍司令部付の国際法顧問を命ぜられて、黒木司令官らとともに、宇品うじなから出発し、大同江だいどうこうをさかのぼり、平壌へいじょうについた。
私の歩んだ道 (新字新仮名) / 蜷川新(著)
「陸軍はもう平壌へいじょうおとしたかもしれないね」と短小精悍せいかんとも言いつべき一少尉は頬杖ほおづえつきたるまま一座を見回したり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
その後平壌へいじょうに参り、日清にっしん戦役の古戦場たる牡丹台ぼたんだいをたずね、さらにその山麓の大同江に面する永明寺を訪問した。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
それ故にまた重吉は、他の同輩の何人よりも、無智的な本能の敵愾心てきがいしんで、チャンチャン坊主を憎悪していた。軍が平壌へいじょうを包囲した時、彼は決死隊勇士の一人に選出された。
実に平壌へいじょう清兵しんへいよろしくという有様にて、四面包囲を受けしなり、ために運動意の如くならず、随て消化力減少して食気更に振わざるを以て、食物総て不味ふみにして口に入らず
されどかの君は大口開きて笑いたまい、宝丹飲むがさまでつらきかとのたまいつつわれらを見てまた大口に笑いたもう。げに平壌へいじょう攻落せし将軍もかくまでにはおごりたる色を見せざりし。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ところがその翌月、大同江だいどうこうをぐんぐんさかのぼって、平壌へいじょうに迫った米船「ジェネラル・シャーマン」号は、むろん朝鮮人にとっては船の英米を弁じる由もなかったけれども、たしかに妙な船だった。
撥陵遠征隊 (新字新仮名) / 服部之総(著)
京城けいじょうはすでに陥った。平壌へいじょうも今は王土ではない。宣祖王せんそおうはやっと義州ぎしゅうへ走り、大明だいみんの援軍を待ちわびている。
金将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)