巧妙かうめう)” の例文
じつ先日せんじつ倫敦ろんどん友人いうじんから『世界せかい名畫めいぐわ』とだいして、隨分ずゐぶん巧妙かうめうすつてあるのを二十まいばかりおくつてれたがね、それは如何どうだらうかとおもふのだ。』
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
此夏から起つた誘拐いうかいで、數はさして多くはありませんが、仕事が如何にも巧妙かうめうで慘忍で、江戸つ子達の義憤の血を沸き立たせるには充分なものがありました。
それがどうも盜人ぬすびと言葉ことばに、つてゐるやうにえるではないか? おれはねたましさに身悶みもだえをした。が、盜人ぬすびとはそれからそれへと、巧妙かうめうはなしすすめてゐる。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ゆゑ彼等かれら隱約いんやくあひだ巧妙かうめう手段しゆだんほどこさうとして其處そこ工夫くふうこらされるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
この清五郎殺しの巧妙かうめうな仕掛を考へた曲者をぎ廻しましたが、五日經ち十日經ち、江戸の櫻が大分咲き揃つても、此曲者ばかりは尻尾をつかませる樣子はなかつたのです。
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
錢形の平次があきらめてゐるほど、その贋金造ひは巧妙かうめうを極めました。
平次の質問はさすがに巧妙かうめうでした。