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せうたん
父親和尚は
何處までもさばけたる
人にて、
少しは
欲深の
名にたてども
人の
風説に
耳をかたぶけるやうな
小膽にては
無く、
手の
暇あらば
熊手の
内職もして
見やうといふ
氣風なれば
昨日の
小膽で
有つた
事も、
月さへも
氣味惡く
見た
事も、
以前には
思ひもしなかつた
感情や、
思想を
有の
儘に
吐露したこと、
即ち
哲學をしてゐる
丁斑魚の
不滿足の
事を
云ふた
事なども
敏これほどの
小膽とも
思はざりしを。