たずぬ)” の例文
しかしてこの系統以外に立てる画工のうちそのおもなるものをたずぬればづ指を菊川英山渓斎英泉の二人ににんに屈せざるべからず。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ただに表向の縁組のみならず、古来士族中にて和姦わかん醜聞しゅうぶんありし者をたずぬるに、上下の士族おのおのその等類中に限り、各等の男女が互に通じたる者ははなはだまれなり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
これをもって毎歳必ず五十日あり。この日や、縉紳しんしん先生より開化処士、青年書生に至るまで、柳をとぶらい、花をたずぬるの期となせり。ゆえに妓楼ぎろう酒店しゅてんにありては、いにしえのいわゆる門日もんび物日ものびに比す。
日曜日之説 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
世事に興味を有する所にあり。西洋の文学小説におもきを置けども東洋においては然らざる所以ゆえんけだしたずぬるに難からず。
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
如何いかようにも勉強して、安いもの適当なものを買入れよう。この儀は如何どうで御座るとたずぬれば
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
つらつらここにわが売文の由来を顧みたずぬるにわれ始めて小説の単行本といふものいだせしはわが友巴山人はさんじん赤木君の経営せし美育社なり。数ふればはや十七年のむかしとなりぬ。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
平仮名と片仮名とをくらべて、市在しざい民間の日用にいずれか普通なりやとたずぬれば、平仮名なりと答えざるをえず。男女の手紙に片仮名を用いず。手形てがた、証文、受取書にこれを用いず。
小学教育の事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)