子持こもち)” の例文
春の日脚ひあしの西にかたぶきて、遠くは日光、足尾あしお越後境えちござかいの山々、近くは、小野子おのこ子持こもち赤城あかぎの峰々、入り日を浴びて花やかに夕ばえすれば
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「日本ばかりじゃ騒がし足りないと見えて、仏蘭西までも騒がして来たネ。すずめ百までおどりやまずで、コンナに多勢おおぜい子持こもちになってもやはり浮気はやまんと見えるネ」
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
いつのとしでしたかわたくしの乗りました車夫くるまや足元あしもとからへた紙鳶たこ糸目いとめ丁寧ていねいに直してりましたから、おまい子持こもちだねと申しましたら総領そうりようなゝつで男の子が二人ふたりあると申しました
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
やすはうねのある鼠紺ねずこんのお召にぽってりとした青砥あおと色の子持こもちの羽織、玉木屋の桐の駒下駄をはいて籠信玄かごしんげんをさげ、筑波山へ躑躅つつじでも見に行くような格好でコンパルチマンから降りてきて
ユモレスク (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
りながら、りながら、同一おなじ子持こもちでこれがまた野郎やらうひざにぞいたりける。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)