姫鱒ひめます)” の例文
鳥が十和田とわだ湖の姫鱒ひめますのように、必ず放流せられた浜に戻って来るものなら、何でもかでもこの庭に巣を掛ける仕組みをしなければならぬ。
成程溝を覗いて見ると少し深い所には、八、九寸から一尺余もある岩魚や姫鱒ひめますが泳いで居る。手網でもあれば造作なくすくえる。
尾瀬雑談 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
姫鱒ひめますも中禅寺湖名物で、私は美味しかったが、お母さんは初めてでどうもぞっとなさらなかった由。河魚は身がやわらかい。それがおいやのようです。
突堤の鼻では老紳士に「沼で姫鱒ひめますを釣りますには鋼鉄製の英国ふうの釣竿より、どうも日本おくにの胡麻竹の釣竿の方が……」
この頃の日本へは、亜米利加アメリカ系の虹鱒にじます河鱒かわます、北海道から姫鱒ひめますなどが移入されて繁殖しているが、その頃の利根川へは、古来東日本の河川に遡ってくる日本鱒である。
利根川の鮎 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
見参けんざん見参けんざんなどゝ元気げんきづいて、説明せつめいつまでもない、山深やまふか岩魚いはなのほかは、かねいた姫鱒ひめますにておはすらむ、カバチエツポでがんせうの、と横歩行よこあるきしていきほひ。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
内部は一間きりの広々とした四角な部屋で、大きな囲炉裏いろりの壁の上には、鹿の首や、賞牌メダイユや、ひからびた姫鱒ひめますや、喇叭ラッパ銃や、そのほか訳のわからぬものが無数に飾り付けられてあった。
湯の湖へは姫鱒ひめます、湯川へは川鱒かわます虹鱒にじますを、帝室林野局で年々数多く放流している。
雪代山女魚 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)