めあわ)” の例文
それより他邦にきて一老人の養子となる。この養子つばきはくごとに金を吐く、老人その金を国王に呈し、王女を養子にめあわさんと願う。
奥方は小笠原おがさわら兵部大輔ひょうぶたゆう秀政ひでまさの娘を将軍が養女にしてめあわせた人で、今年四十五歳になっている。名をおせんかたという。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そういう妹だからこそ、彼が辰之助とめあわせようと考えたのは当然だろう。……そのうえ彼は、いつか辰之助の眼のなかにありありと妹に対する愛情が耀かがやいているのを見たのだ。
(新字新仮名) / 山本周五郎(著)
内をも善く治めるメネラスにおめあわせなされた。
文左衛門は助六を呼んで戒飭かいちょくする。舞台が廻ると、揚巻の座敷である。文左衛門が揚巻の身受をして助六にめあわせる。揚巻は初め栄三郎、後梅幸であった。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
景一は京都赤松殿やしきにありし時、烏丸光広からすまるみつひろ卿と相識そうしきに相成りおりそろ。これは光広卿が幽斎公和歌の御弟子にて、嫡子ちゃくし光賢みつかた卿に松向寺殿の御息女万姫君まんひめぎみめあわせ居られそろゆえに候。
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)