女狐めぎつね)” の例文
そして再び身慄みぶるいに襲われた。なぜならば、ろうやかに化けた女狐めぎつねのように——草の根におののいていた女は、野で見るには、余りに美しい。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今ごろは、かの女狐めぎつね男狐おぎつね、知る人もなしと額をあつめて、はかりごとの真最中でござろう。そこへ乗りこんで、驚く顔を見てやるのも一きょう……
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
法印は、すばしッこく智慧ちえのまわる方ではねえ。お初といえば女狐めぎつねよりもずるい奴——だまされたと見えるが、みんな、俺の罪だ!
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
阿呆拂あはうばらひに遊ばすやう。この女狐めぎつねが御屋敷に居るうちは、何のやうな事があつても二品の行方は申し上げられません
駱駝に跨つてゐる、悪戯いたづらざかりの女狐めぎつねの子。みよ。カメレオンは強烈なチアノーゼに罹つた。ラレグル猿は跳ねてゐる。⦅補欠の跳躍選手!⦆だがこれらは、およそ時世粧であることが判る。
希臘十字 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
「ききたければこそお尋ねするのでござります。どこの女狐めぎつねでござります」
「この店はあの女狐めぎつねのものなんだ」と木内桜谷が房二郎にささやいた
へちまの木 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
阿呆払いに遊ばすよう。この女狐めぎつねが屋敷内にいるうちは、どのような事があっても二品の行方は申上げられません
あの峰丹波をだきこんでおりますことだけでも、かの女狐めぎつねは、なかなかのしたたか者ということは知れまする。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
『狂うたかもしれません。父上が、世間に恥じて、こう長い月日、こもったのも、あなたのためだ。あなたは、父上の大事な若い月日を奪った、おそろしい女狐めぎつねだ』
女狐めぎつねのやうなお徳に口説かれる方が、まだしも樂だらうよ。御守殿崩ごしゆでんくづしは苦手だ」
「若、あのお蓮様とやら申す女狐めぎつねが、お眼にかかりたいと申しておりますが……」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「言わいでか。紅白粉べにおしろいを塗りたくって、さもなまめかしゅうしていやがるが、一ト皮けば、その下はむじなか狐とも変りはなかろう。舞台の夜は前芸で、奥の芸は女の淫を売る女狐めぎつねじゃわ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「六助。つかまえて来い。この辺りには、女狐めぎつねがよく出る。逃がすなよ」
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
木戸の外でも猫の干物ひもの女狐めぎつねとがつかみ合いの一ト幕の事
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女狐めぎつねめ! また一杯食わせたか」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女狐めぎつねじゃ……。あの美しさは』
「おのれッ。女狐めぎつね!」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この女狐めぎつねめ!」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)