ぶと)” の例文
それから、思いがけなく、まるで違ったものからでもおまえを連想させられる。ぼんのくぼのちぢりっ毛や、のぶとい率直な声音、——これ等も打撃だ。
巴里のむす子へ (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「うむ、執拗しつっこい奴等だな、御蔵前で見ん事、いてやったと思ったに、しぶとけて来やあがったのか」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
始められい! (声と同時に、土手下のざわめきが一時に静まって、声が終るや否やビシーッ! と音がする。下人がにぎぶとの青竹を割ったもので仙右衛門の背中を叩き下ろした音)
斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
そして右手めてには重そうなおお一番のトランク、左手ゆんでには金のにぎぶとのステッキです。
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ころぶようにたおれこんだ蚕婆かいこばばあ、いつものしぶとさに似ず、いきた色もしていない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから、思いがけなく、まるで違ったものからでもおまえを連想させられる。ぼんのくぼのちぢりっ毛や、のぶと率直そっちょく声音こわね、——これも打撃だ。
巴里のむす子へ (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
下人がにぎぶとの青竹を割ったもので仙右衛門の背中を叩き下ろした音。
天狗外伝 斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)