太祇たいぎ)” の例文
太祇たいぎ蕪村召波しょうは几董きとうらを学びし結果はただに新趣味を加へたるのみならず言ひ廻しに自在を得て複雑なる事物を能く料理するに至り
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「物堅き老の化粧やころもがへ」という太祇たいぎの句ほど面倒なものではない。元朝を迎えた老人が、にこやかに鏡に対しているところである。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
春風馬堤曲に歌われた藪入やぶいりの少女は、こうした蕪村の詩情において、蒲公英たんぽぽの咲く野景と共に、永く残ったイメージの恋人であったろう。彼の詩の結句に引いた太祇たいぎの句。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
籠行燈かごあんどんの中にともした電燈が所々に丸い影を神代杉じんだいすぎの天井にうつしている。うす暗い床の間には、寒梅と水仙とが古銅の瓶にしおらしく投げ入れてあった。軸は太祇たいぎの筆であろう。
老年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
な折りそと折りてくれけり園の梅 太祇たいぎ
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
ちなみにいふ。太祇たいぎにも蕪村ぶそんにも几董きとうにも「訪はれ顔」といふ句あるは其角きかくの附句より思ひつきたるならん。(三月二十四日)
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「とればものいふ」の語は、後の太祇たいぎの句などに見るような使い方で、頗る働いているのみならず、これによって周囲の闇を一層深からしめている。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
東風こち吹くと語りもぞ行くしゅう従者ずさ 太祇たいぎ
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
○君見ずや故人太祇たいぎが句
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
俳諧に何々顔といふ語は、さかんに蕪村や太祇たいぎに用ゐられた、そこで子規君も多分この二人の新造語であらうとまで言はれたが、これは少し言ひすごしである。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
春風や殿待うくる船かざり 太祇たいぎ
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
蕪村のまじわりし俳人は太祇たいぎ蓼太りょうた暁台きょうたいらにしてその中暁台は蕪村に擬したりとおぼしく、蓼太は時々ひそかに蕪村調を学びし事もあるべしといへども、太祇に至りては蕪村を導きしか
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
蚊帳かやくぐる女は髪に罪深し 太祇たいぎ
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
蕪村の交わりし俳人は太祇たいぎ蓼太りょうた暁台ぎょうたいらにしてそのうち暁台は蕪村に擬したりとおぼしく、蓼太は時々ひそかに蕪村調を学びしこともあるべしといえども、太祇に至りては蕪村を導きしか
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
逢ひ見しは女のすり朧月おぼろづき 太祇たいぎ
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
その上にまだ太祇たいぎという名人も京にいたのですが、この者の力も非常な者であって、蕪村でもうっかりすると土俵から押し出されそうなのですから、江戸にも何処にも、蕪村の外に敵はありはしない。
俳句上の京と江戸 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
太祇たいぎ
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)