大神おおかみ)” の例文
大神おおかみは、「それでは、明日あすお供をして海ばたへ来るがよい。名を取りかえてくださったお礼を上げようから」とおっしゃいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
鼠を大神おおかみ後裔こうえいとし、ニルヤカナヤをもって彼らの故郷とするような驚くべき俗信は、是より以外にその原因を考え出すことはできぬようである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「とこしへに民安かれと祈るなる吾代わがよを守れ伊勢の大神おおかみ」。そのまことは天にせまるというべきもの。「取るさおの心長くもぎ寄せん蘆間小舟あしまのおぶねさはりありとも」
謀叛論(草稿) (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
福徳の大神おおかみに祟られた物狂いでも踊っているか、さもなければ迂闊うかつ近江商人おうみあきゅうどが、魚盗人うおぬすびとに荷でもさらわれたのだろうと、こう私は考えましたが、あまりその騒ぎが仰々ぎょうぎょうしいので
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
わしらを初め、村々の者は、代々ここの土に住み着いて百姓しておりまするが、いずれも遠い大祖おおおやは、伊勢の大神おおかみさまにしたごうて諸国にわかれた御先祖がたのすえでござりまする。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わかい神はおかげで、気らくにぐっすりおよって、朝になると、あたりまえの顔をして、大神おおかみの前に出ていらっしゃいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
そこに祭っている鎮守ちんじゅの神の祭りに、住民が参加することになったなどはそれであり、またほかからきた人に勧められて、とおくの尊とい大神おおかみをお迎え申したのもそれであった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
大国主神おおくにぬしのかみはおおせのとおりに、改めていただいた、大神おおかみ太刀たち弓矢ゆみやを持って、八十神やそがみたちをちにいらっしゃいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
武塔天神は今の京都の八坂神社、俗に祇園ぎおんさんという疫病えきびょう大神おおかみであったという。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
もとは村かぎりの小さい氏神うじがみやしろにおいて生まれ、のちにおいおいと国の大神おおかみの、たがいに知らぬ信徒のあいだにもひろがったものと思うのだが、それにしては、その本元ほんもとの村や大字おおあざにおいて
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そうして多くの信徒の興奮と感激との間に、当の本人は霊魂のみを大神おおかみに召されて、若いむくろを留めて去ったのである。およそ近代の宗教現象の記録として、これほど至純なる資料はじつは多くない。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)