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夥多敷
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おびたゞしく
送ける或日兩國邊より
歸る
途中俄に
夕立降來り
雷夥多敷鳴渡れども
雨具なければ馬喰町の馬場の
脇に
出格子の有る家を幸ひに
軒下に
立停り我が
宅も早二三町なれども歸ること
叶ず
雨に
濡て居るを
紙へ
伸て
腫物の上に
貼置けるに其
夜亥刻頃より痛む事甚だ
敷曉方に成て
自然と
潰え
膿の出る事
夥多敷暫時有て
痛は
忘れたる如く
去ければ少しづつ
動かし見るに是迄
寢返りも自由に成ざりし足が
膝を
置て
戻りしにぞお花は
早速煎じて
飮するに其夜の明方頃になり友次郎は
夥多敷吐けるが夫より大いに
熱も
醒すや/\と
眠る樣子なるにぞお花は少しは
安堵せしに其翌日より友次郎の右の足に大きさ
茶碗を