多門たもん)” の例文
のこったものは殿とののご寝所しんじょのほうをまもれ、もう木戸きど多門たもんかためにはじゅうぶん人数がそろったから、よも、やぶれをとるおそれはあるまい」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
多門たもん小手こてを一本にめんを二本とりました。数馬は一本もとらずにしまいました。つまり三本勝負の上には見苦みぐるしい負けかたを致したのでございまする。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
果たして、翌二日の朝、五郎信盛は、大薙刀おおなぎなたを杖ついて、左の太い足に、草鞋わらじをくくりつけ、その片足を引きり引き摺り城の多門たもんまで歩いて来て
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことさらに数馬を負かしたいとか、多門たもんを勝たせたいとかと思わなかったことは申し上げた通りでございまする。しかし何もそればかりでは、依怙がなかったとは申されませぬ。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「この江戸城の多門たもんをくぐりましたのは、自分が元服した折に、父に連れられてお目見得に登城いたした以来のことで、実に久しぶりでございますよ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると今度は数馬かずまから多門たもん小手こてへしかけました。多門はその竹刀しないを払いざまに、数馬の小手へはいりました。この多門の取った小手は数馬の取ったのに比べますと、弱かったようでございまする。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
銀砂をしきつめた大手の坂道も、巨石を組んだ石段も、塗りの多門たもんも、金鋲きんびょうの金具も、すべてがまばゆいほど新しい。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「大手の城門、多門たもん、玄関まで、すべて閉じてはならんぞ。城門はみな開けひろげておけい。——よいか!」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奥庭おくにわまでは白壁門しらかべもん多門たもん、二ヵしょ難関なんかんがまだあって、そこへかかった時分には、いかに熟睡じゅくすいしていたさむらい小者こものたちも眼をさまし、警鼓けいこ警板けいばんをたたき立て、十手じって刺股さすまたやり陣太刀じんだち半弓はんきゅう袖搦そでがら
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると多門たもん塀際へいぎわですれちがった、りっぱな武士がある。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金剛こんごう、中村、多門たもん武辻たけつじ
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)