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夕映
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ゆふばえ
ふりがな文庫
“
夕映
(
ゆふばえ
)” の例文
遙かかなた、
夕映
(
ゆふばえ
)
のなかに、何やら、ほつそりとした、暗いものの、立つてゐるのを。それは一個の半ば朽ちた圓柱だつた。
旗手クリストフ・リルケ抄
(旧字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
彼女はさういはれて包みきれないよろこびをほのかな
夕映
(
ゆふばえ
)
のやうに、その美しい
眉
(
まゆ
)
のほとりにたゞよはせた。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
平次と八五郎は、赤坂田町の坂田屋を引揚げて、虎の門の方へ、殘る
夕映
(
ゆふばえ
)
の中を歩いて居りました。
銭形平次捕物控:219 鐘の音
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
又
夕映
(
ゆふばえ
)
の赤きところに、暗碧なる雲の浮べるをば、天人の居る山の松林ならんと思ひて、そこの谷かげには、美しき神の童あまた休みゐ、白き翼を扇の如くつかひて
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
しかし、人間の子が鰈の子になるのは、なかなか
易
(
やす
)
いことではない。やがて日が暮れて夕方がやつて来た。空が
夕映
(
ゆふばえ
)
で
茜色
(
あかねいろ
)
になり、空の茜が海にうつつて、海もあかくなつた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
▼ もっと見る
太陽が落ちてしまつても、
夕映
(
ゆふばえ
)
がある。残紅がある。余光がある。薄明がある。
接吻
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
明日の暑さで
威嚇
(
ゐかく
)
する夕焼ではなく、明日の快晴を約束する
夕映
(
ゆふばえ
)
であつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
と、貧しげな顎の下、
夕映
(
ゆふばえ
)
や、扁桃腺の色をして
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
魚市場
(
さかないちば
)
の
夕映
(
ゆふばえ
)
が血なまぐさそに照るばかり
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
たまたま虹に
夕映
(
ゆふばえ
)
に
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
耀
(
かがや
)
きぬ雲の
夕映
(
ゆふばえ
)
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
自棄
(
やけ
)
な
櫛卷
(
くしまき
)
にした多い毛にも、わざと
白粉
(
おしろい
)
を嫌つた眞珠色の素顏にも、野暮を賣物にした木綿の
單衣
(
ひとへ
)
にも、つゝみ切れない
魅力
(
みりよく
)
が、
夕映
(
ゆふばえ
)
と一緒に街中に擴がるやうな女でした。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
わたつみに日は入りぬらむとおもほゆる
夕映
(
ゆふばえ
)
とほしこころにぞ
染
(
し
)
む
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
飛騨
(
ひだ
)
の
空
(
そら
)
にあまつ日おちて
夕映
(
ゆふばえ
)
のしづかなるいろを月てらすなり
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
夕映
(
ゆふばえ
)
の赤きを見れば
凡
(
おほよそ
)
のものとしもなし山のうへにて
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
夕
常用漢字
小1
部首:⼣
3画
映
常用漢字
小6
部首:⽇
9画
“夕”で始まる語句
夕
夕餉
夕飯
夕陽
夕方
夕靄
夕闇
夕暮
夕日
夕焼