地袋じぶくろ)” の例文
と、そこへ意外にも、金地院範覚が現われて、自分をいましめ猿轡さるぐつわをかい、地袋じぶくろの中へ入れた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ただ、暖簾のれんをたたんで、店の地袋じぶくろへ、仕舞いこんでいた小僧が、金行燈かなあんどうの明りに、かえって
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
怖々こわ/″\あがって縁側伝いに参りまして、居間へ通って見ますと、一間いっけんは床の間、一方かた/\地袋じぶくろで其の下に煎茶せんちゃの器械が乗って、桐の胴丸どうまる小判形こばんがたの火鉢に利休形りきゅうがた鉄瓶てつびんが掛って
もとは上ノかわやといって、繧繝縁うんげんべりの畳を敷いた、二ノ間付き八畳の厠で、地袋じぶくろの棚に、書見台と青磁の香炉が載っているという、格調の高い場所だったが、そこが、どういう都合でか
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
この違い棚の下の地袋じぶくろを開けてくれ。そこに手文庫が入っている。その手文庫の中の札入れに、確か三百円余りの現金があった筈だ。それを皆やるから、どうか手荒な事はよしてくれ。お願いだ。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
表面がなめらかな肌ざわりを持つ艶消つやけしの紙で、他に類を持ちません。古くは書物の用紙として悦ばれました。また地袋じぶくろを張るのにも好まれます。品位のある紙であって、忘れ難い和紙の一つであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
私は背後うしろ地袋じぶくろを開け、木箱を取り出し、その中から太い竹の筒を取り出しました。
怪しの者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
又次のお居間の襖をスラリ/\と開けるから、お國はハテナ誰かまだ起きて居るかと思っていると、地袋じぶくろの戸がガタ/\と音がしたかと思うと、じょうを明ける音がガチ/\と聞えましたから
それから立ち上って隣部屋へ行き、地袋じぶくろから手箱を取り出して来た。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それから範覚は屏風から出て、地袋じぶくろの戸を引きあけた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)