在家ありか)” の例文
たづね出さんと又々諸國しよこくへ手をまはされけれ共靱負の在家ありか少しも知ず其中そのうち西國へ差出さしいだされたる探索たんさくの者より靱負は泉州せんしうさかひにて入水じゆすゐせしと云事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「その危険もあるし、ほかに私が考えていることがあるの。とにかく、あなたあの女の在家ありかを突き止めてくれない?」
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そして、その点が明かになれば、存外手易たやすくお嬢さんの在家ありかが分らないものでもありません。一度私にそのお嬢さんのお部屋を見せて頂けないでしょうか。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
女はうごかない。腰を掛けた儘、箒やハタキの在家ありかを聞く。三四郎は、たゞ空手てぶらたのだから、どこにもない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とにわかに声を落とし、「これ求林斎、ちょっと聞きたい、その天禀星の主の在家ありか、どうだそちに解るかな?」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
こは心得こゝろえぬ事也とて心あたりの処こゝかしこへ人をはしらせてたづねさせけるにその在家ありかさらにしれず。
手配して在家ありかをさぐらせ、お役人へ密告してやろうかしら? それにしても、あの闇の親分と、雪さんと、どうして一たい知り合っていたのだろう? いくら考えて見ても分りはしない
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「分った分った。なるべく君の希望に添うことにしよう。兎も角早く犯人の在家ありかを教えてくれ給え」
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「しかしいったいどうしたらいいのだ?」「何より先にることは女の在家ありかを突き止めることだ」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
今に於て相知あひしれず然る所いま藤兵衞がさして居たる脇差の有からは其方が掃部かもん茂助藤兵衞三人の在家ありか
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
永世の蝶の一匹の在家ありかを、一口お打ち明けなさいませ、そうしたら滝の水を止めましょう。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
三人迄取りけれ共皆離縁になり其後惡き者と欠落かけおちし母方のあと斷絶だんぜつせり此外には親類もあらざれば母は臨終りんじうの時傳吉に向ひ我が妹お早は其方の爲に實の叔母をばなれども先年せんねん村を欠落かけおちなし今は其の在家ありか
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「まだ云わぬか! おのれ強情! 云え云え云え、蝶の在家ありかを! まだ助かる、さあ桔梗!」
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いまだに在家ありかの知れないのは運の尽きか死んだのか、心残りでございますよ。
赤格子九郎右衛門の娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
永生の蝶の一匹の在家ありかを事実知っていないからであった。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)