“咋(く)” の例文
ここに香坂(かごさか)の王、歴木(くぬぎ)に騰りいまして見たまふに、大きなる怒り猪出でて、その歴木(くぬぎ)を掘りて、すなはちその香坂(かごさか)の王を咋(く)ひ食(は)みつ。
元来、我々の中にはなかった病気じゃが、我々が人間を咋(く)うようになってから、我々の間にもごくまれに、これに侵される者が出てきたのじゃ。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
かれ、その猨田毘古(さるたひこ)の神、阿邪訶(あざか)に坐(いま)せる時に漁(すな)どりして、ヒラブ貝にその手を咋(く)ひ合されて海塩(うしお)に溺(おぼ)れたまひき。
始祖鳥(みおやどり)荒き歯に咋(く)ふ。
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ここにその妻(みめ)須勢理毘賣(すせりびめ)の命、蛇のひれ七をその夫に授けて、「その蛇咋(く)はむとせば、このひれを三たび擧(ふ)りて打ち撥(はら)ひたまへ」
一五六八年版ジャク・グレヴァン・ド・クレルモンの『毒物二書(ド・リヴル・ジュ・ヴェナン)』一三八頁に古人一種の蜈蚣を蛇殺し(オフィオクテネ)といい能く蛇を咋(く)い殺したとあって
他の妖怪(ばけもの)らは互いに言合うた。「渠(あいつ)は、僧侶(そうりょ)どころか、ろくに人間さえ咋(く)ったことはないだろう。誰もそれを見た者がないのだから。鮒(ふな)やざこを取って喰っているのなら見たこともあるが」
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
始祖鳥(みおやどり)荒き齒に咋(く)ふ。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
その時にカゴサカの王はクヌギに登つて御覽になると、大きな怒り猪(じし)が出てそのクヌギを掘つてカゴサカの王を咋(く)いました。
旅人が乗馬して海人(あま)に赤貝を買い取って見る拍子にその貝馬の下顎(したあご)に咋(く)い付き大いに困らす。
ここにその鼠、その鳴鏑(なりかぶら)を咋(く)ひて出で來て奉りき。その矢の羽は、その鼠の子どもみな喫ひたりき。
計を決し髀(もも)を拍(う)ち大いに喚(よ)んで烏竜と白(い)う、狗声に応じ奴を傷つく、奴刀を失し伏して地に倒る、狗ついに奴の頭を咋(く)う、然、因って刀を取って奴を斬り、婦を以て官に付しこれを殺すと。
それから吉野のアキヅ野においでになつて獵をなさいます時に、天皇がお椅子においでになると、虻(あぶ)が御腕を咋(く)いましたのを、蜻蛉(とんぼ)が來てその虻を咋つて飛んで行きました。
しかるに知人アッケルマンの『ポピュラー・ファラシース』にいわく、ロンドン動物園書記ミッチェル博士がかの園の案内記に書いたは、世人一汎に想うと反対に、猴が蚤(のみ)に咋(く)わるる事極めて稀(まれ)だ。
この時にお妃が椋(むく)の木の實と赤土とを夫君に與えましたから、その木の實を咋(く)い破(やぶ)り赤土を口に含んで吐き出されると、その大神は呉公を咋(く)い破つて吐き出すとお思いになつて