-
トップ
>
-
呑乾
>
-
のみほ
譬えて申せば貴方が一杯の酒を
呑乾しておしまいなさる時、その酒の
香がいつか
何処かであった嬉しさの
香に似ていると
思召すように
半時間毎位に
彼は
書物から
眼を
離さずに、ウォッカを一
杯注いでは
呑乾し、そうして
矢張見ずに
胡瓜を
手探で
食い
欠ぐ。
半時間毎位に
彼は
書物から
眼を
離さずに、ウオツカを一
杯注いでは
呑乾し、
而して
矢張見ずに
胡瓜を
手探で
食ひ
缺ぐ。
初めの
壜は
二人共無言の
行で
呑乾して
了ふ。
院長は
考込んでゐる、ミハイル、アウエリヤヌヰチは
何か
面白い
話を
爲やうとして、
愉快さうになつてゐる。
初めの
壜は
二人共無言の
行で
呑乾してしまう。
院長は
考込んでいる、ミハイル、アウエリヤヌイチは
何か
面白い
話をしようとして、
愉快そうになっている。