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吼
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たけ
ふりがな文庫
“
吼
(
たけ
)” の例文
ガルールは
吼
(
たけ
)
り立って、猛然身構えようとしたが、ぐいと手梏を絞めつけられる痛みに、アッといって腰掛へへたばってしまった。
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
これを聞いた盗人たちは、今更のように顔を見合せたけはいでございましたが、
平太夫
(
へいだゆう
)
だけは独り、気違いのように
吼
(
たけ
)
り立って
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
前へ進みかけた虎は、そのまま大きく口をあけて
吼
(
たけ
)
りながら後肢で一寸立上ったが、直ぐに、どうと倒れて了った。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
おとなしくそこに寐よ。「アヱ、マリア」を唱ふることを忘るな。人の眠る時は鬼の醒めたる時なり。十字を
截
(
き
)
りて寐よ。この鐵壁をば
吼
(
たけ
)
る
獅子
(
しゝ
)
も越えずといふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
人か馬か形か影かと惑うな、只呪いその物の
吼
(
たけ
)
り狂うて行かんと欲する所に行く姿と思え。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
そこでは阿賀妻が立ちあがって、白木の
三方
(
さんぼう
)
をかかえるところであった。その上にのっている白と赤の大きなすみ餅がぱッと眼に映るのであった。集まったものは一度におーと
吼
(
たけ
)
った。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
うしろ手に
縛
(
くく
)
りあげると、細引を持ち出すのを、
巡査
(
おまわり
)
が
叱
(
しか
)
りましたが、叱られるとなお
吼
(
たけ
)
り立って、たちまち、裁判所、村役場、派出所も村会も一所にして、
姦通
(
かんつう
)
の告訴をすると、のぼせ上がるので
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、勇ましい大天使は勿論、
吼
(
たけ
)
り立った悪魔さえも、今夜は
朧
(
おぼろ
)
げな光の加減か、妙にふだんよりは優美に見えた。
神神の微笑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「おちぶれたりとは云え、身どもらは武士」彼は歯をかみならして
吼
(
たけ
)
った
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
金応瑞
(
きんおうずい
)
は大いに
吼
(
たけ
)
りながら、青竜刀の一払いに行長の首を打ち落した。が、この恐しい
倭将
(
わしょう
)
の首は
口惜
(
くや
)
しそうに
牙
(
きば
)
を
噛
(
か
)
み噛み、もとの体へ舞い戻ろうとした。
金将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼の奇蹟を行ふことは後代にルツソオの
吼
(
たけ
)
り立つた通り、彼の道を教へるのには不便を与へるのに違ひなかつた。しかし彼の「小羊たち」はいつも奇蹟を望んでゐた。
西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかしだんだん云ひ
募
(
つの
)
るうちに、お民は冷笑を浮べながら、「お前さん働くのが厭になつたら、死ぬより外はなえよ」と云つた。するとお住は日頃に似合はず、気違ひのやうに
吼
(
たけ
)
り出した。
一塊の土
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
なれど風は
益
(
ますます
)
加はつて、焔の舌は天上の星をも焦さうず
吼
(
たけ
)
りやうぢや。
奉教人の死
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
吼
漢検1級
部首:⼝
7画
“吼”を含む語句
獅子吼
遠吼
吼声
吼立
吼付
咆吼
猛吼
吼噦
虚吼
太吼
雷吼
一吼
長吼
怒吼
御吼
哮吼
吼顔
吼噲
吼哮
吼吠