吹立ふきた)” の例文
雨戸あまどけて欄干らんかんからそとると、山気さんきひやゝかなやみつて、はしうへ提灯ちやうちんふたつ、どや/\と人影ひとかげが、みち右左みぎひだりわかれて吹立ふきたてるかぜんでく。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
廷珸は大喜びで、天下一品、価値万金ばんきんなんどと大法螺おおぼら吹立ふきたて、かねて好事こうずで鳴っている徐六岳じょりくがくという大紳たいしんに売付けにかかった。徐六岳を最初から廷珸は好い鳥だと狙っていたのであろう。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
又も無限の時空を抱擁ほうようしつつ、彼の頭の上にしかかって来るのを、ジリジリと我慢しながら……どこか遠い処で、ケタタマシク吹立ふきたてていた非常汽笛が、次第次第に背後に迫って来るのを
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)