君子きみこ)” の例文
君子きみこのびをしてむすばれた電氣でんきつなをほどいてゐた。とそのときはゝあたかもそのひかりにはじかれたやうにぱつとあがつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
令嬢君子きみこさんはお母さんに似たのだろう。宮下君の所謂いわゆるトレラブルどころでない。甚だ敏感のようだが、僕は心動いた。
ロマンスと縁談 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
君子きみこ不審いぶかしさに母親はゝおや容子ようすをとゞめたとき彼女かのぢよ亡夫ばうふ寫眞しやしんまへくびれて、しづかに、顏色かほいろ青褪あをざめて、じろぎもせずをつぶつてゐた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
別段べつだんさうするやうにひつけたわけではなかつたけれど、自然しぜん自然しぜんはゝ境遇きやうぐう會得ゑとくしてむすめ君子きみこは、十三になつた今年頃ことしごろから、一人前にんまへ仕事しごとにたづさはるのをたのしむものゝやうに
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)