うらない)” の例文
秀継は、赤面したが、なお何とかして、利家を思い止まらせようと試みてか、わざと、うらない上手じょうずをよんで、出陣の吉凶をうらなわせた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まずあれは易者なんで、佐助めが奥様に勧めましたのでございます、鼻はうらないをいたします。」
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
えきだのうらないなどということは、それこそ薄志弱行の凡俗のすることで、人間に頭脳と理性が備わっていることを信ずるものにとっては、ばかばかしくて取上げられるものではない。
成はねだいの上に身を悶えて、ただ自殺したいとばかり思っていた。その時村へ一人のせむしのみこが来て、神を祭ってうらないをした。成の細君は金を持って巫の所へ成の身の上のことをきにいった。
促織 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
それが凡人の言なら、戯れとも聞き流しましょうが、評判なうらないの名人の言でしたから、少年は泣き泣き走り去って、父親に告げました。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてこれはお米から聞いた話ではございません、爺をお招きになりましたことなんぞ、私はちっとも存じないでおりますと、ちょうどそのうらないを立てた日の晩方でございます。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「拙者はうらないを稽古して置かなかった。だが、お一人暮しですか、こんなさびしいところに」
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と、自分のうらないが的中しないことを今はしきりにいのっていた。気のせいか、こよいに限って、燈火ともしびの色もわるい。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うらないもくだらないもあったもんじゃあございません。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「許都に、うらないの上手がいたな。どうも今度の病気はちとおかしい。ひとつ卜者うらないしゃに見てもらおうと思うのだが」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「都を出るとき、管輅かんろうらないを観てもらったら、彼がいった。——このたびの戦場では、ひとりの大将を失うであろうと。故に、あえて入念に作戦しているわけだ」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うらないのうえでいうのではない、証拠のあることです、そなた達へ向って、口にするも恥かしいが、嬀覧は妾に道ならぬ不義をいどみかけている。妻になれと迫るのです。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、吉兆です」と、孔明は、衣の下で何か指をくりながら、うらないをたてて答えた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「へえ、あんなきゃん気質きだてのおかみさんでも、うらないなどを観てもらいに行きますかね」
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
海道の日和見武士のうちには、道誉の参陣を見てから寄って来たものもある。彼の向背こうはいにさえ注意していればおのずから勝目のいずれかが分ると自己の去就のうらないとしている武族も近ごろは多かったのだ。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、幼少から易学を好み、うらないをよくした。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)