おわ)” の例文
何んでもこれを四年で卒業する仕組みになっていたようだが、私は下等一級をおわった時小学校が嫌になって自分で退校してしまった。
女仙外史一百回は、しん逸田叟いつでんそう呂熊りょゆうあざな文兆ぶんちょうあらわすところ、康熙こうき四十年に意を起して、四十三年秋に至りて業をおわる。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
学業をおわって英国に遊ぶ事前後二回還来って既に年あり。およそ当世の人官吏教員新聞記者の輩一度洋行して帰り来れば必ずその見聞を録して出版す。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
私が小学時代をおわってこの町を離れる年の春、御殿の御庭の一部には教室と雨天体操場とが建て増しになって、その建築の響きが周囲の静けさを破っていた。
御殿の生活 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
十一歳の春、芹沢東洋は小学校もおわらぬうちに、縁故によつて京都のとある染物店へ丁稚奉公に送られた。
狼園 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
「学校は——さっぱりだめです」と平一郎は言って、「今、中学四年をおわったところです」とつけ加えた。
地上:地に潜むもの (新字新仮名) / 島田清次郎(著)
学問に志して業をおわりたらば、その身そのまま即身そくしん実業の人たるべしとは、余がつねに諸氏に勧告するところにして、毎度の説法、聴くもわずらわしなど思う人もあるべけれども
うらむらくは其の叙するところ、けだいまだ十の三四をおわるに及ばずして、筆硯ひっけん空しく曲亭の浄几じょうきのこりて、主人既にきて白玉楼はくぎょくろうとなり、鹿鳴草舎はぎのやおきなこれをげるも
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)