われ)” の例文
われの女は青磁色の薄い絹の襟巻の端に出た糸を指でむしりながら云ふ。先刻さつきから心持こヽろもち程頬の赤味がふゑたやうである。
御門主 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
再發さいはつさせ科人とがにんの身と成し事思ひ知れやとひながら奉行ぶぎやうの方に打向ひわれるばかりの大音だいおんあげ是迄したる我が惡事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
後でおそらくわれが入り形はゆがむであろう。だがなぜそれがいけないのかと言っているように思える。
全羅紀行 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
……九大の狂人きちがい博士として、アインスタイン、スタインナハ以上に有名な正木博士がスクリーンに現われましたならば、何卒、われむばかりの拍手を以て、お迎えあらむ事を希望致します。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ひづめわれはさまれど
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
近い処に居る人の目はしば/\われの女に注がれる。絵はがきになつて居る赤坂のなにがしだらうなどヽ云つて居る者もあつた。
御門主 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
と云つて、桃われの女は前の女が倒れさうになる程二三度もその持つた袖を引つ張つた。
御門主 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)