刮目かつもく)” の例文
これら人間の恩恵者、建設者の大部分が、とりわけ恐ろしい流血者であったということは、刮目かつもくに価いするくらいじゃありませんか。
今期の議会において、政府は増税案をはじめ従来難問題とされていた種々の法案を解決して、その手腕は刮目かつもくすべきものがあった。
渡良瀬川 (新字新仮名) / 大鹿卓(著)
しかし、慈円のその信念は、決して、あやふやな——らしいの程度ではなく、山の巌根いわねのごとく、範宴の将来に刮目かつもくしているのであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかも刮目かつもくに値するのは、必らずこういう話を一種厳粛な調子で包み、その場にふさわしい態度を保つ心得のあったことである。
……こうした湊屋仁三郎一流の痛快な消息のドン底を把握し、神経衰弱の無限の乱麻を一刀両断しようと思うならば請う、刮目かつもくして次回を読め!
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
自身の刮目かつもくすべき力闘と勝利とが、全世界の平和とその推進のために、どんなに重大な価値をもっているかということを、全生活感情で自覚しないとすれば
政治と作家の現実 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
快速戦車部隊への刮目かつもく、敵の空襲や迫撃砲や機関銃に対する悲憤ひふん、それからまた軍需品製造への緊張
時勢の進歩にわかに速度を加へて、今の十年は昔の百年に当り、三日見ざれば刮目かつもくして待つこの時、趣味において品格において句法においておのおの一歩を進めたる談林が
古池の句の弁 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
陳列換えは前総長時代からのかねての計画で、鴎外の発案ではなかったともいうし、刮目かつもくすべきほどの入換えでもなかったが、く鴎外が就任すると即時に断行された。
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
まあ刮目かつもくして、僕たちの活動ぶりを見てくれ給え。僕たちは本当に黎明が来たという気がする
無名作家の日記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そして、空しくこの刮目かつもくされた一幕を、終らねばならなかったに違いない。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
最も刮目かつもくすべき職業上の研究問題として現われるでしょう。
読者請う刮目かつもくしてその時を待て
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ば、地下において、刮目かつもくして待っているものです。なんで、先鋒の一陣を、余人に任せてよいものですか。ぜひとも先鋒の役は、それがしに命じ賜わりますように……
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、それでもかして置きたかった。アレカラ先き当分露国に滞留して革命にも遭逢し、労農政府の明暗両方面をも目睹もくとしたなら、その露国観は必ず一転回して刮目かつもくすべきものがあったであろう。
二葉亭追録 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
然れども、以上の行動を以て察する時は何等か的確なる方針の下に、意外の辺にて意外の活躍をなしおるものなるべく、今明日こんみょうにちうちには何等かの刮目かつもくすべき成果を挙げきたるべく信ぜられつつあり。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これは将に刮目かつもくされるべき一つの点である。
今日の文学の展望 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
額は一口三両とする、そしてその半額を前納してもらい、やがて、内蔵助が本格的な鍛冶小屋を持つ資金としておいたなら、彼の将来には、刮目かつもくするものがあるにちがいない。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、家康もまた刮目かつもくしているにちがいない。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
司馬懿は、刮目かつもくして
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)