別口べつくち)” の例文
えうするに娘が内職ないしよくするは親に関することなく妻が内職ないしよくは夫にくわんすることなし、一経営上けいえいじやう全くこれは別口べつくちのお話とも申すべきものにそろ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
中田屋の一件とは別口べつくちで、千生さんは少し筋の悪いことがあって、当分は身を隠していなければならない。その隠れは知れているが、今すぐに逢わせるわけには行かない。
廿九日の牡丹餅 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
かまことはない呼出よびだしており、わたしのなぞといつたら野郎やらうから心替こゝろがはりがしてかほてさへすのだから仕方しかたがない、どうであきらもの別口べつくちへかゝるのだがおまへのはれとはちが
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「——しかし行ってみるもんでがすな、つまりその、金巾は駄目でがしたが、別口べつくちの耳寄りな話ががしてな、光が一箱十円であるちゅうんでがすよ。もっとも千箱単位でがすが、しかしどうでがす、十円なら廉うがアしょう。買いませんかな」
世相 (新字新仮名) / 織田作之助(著)