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切立
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きつた
途中お
納戸町邊の
狹い
道で、
七八十尺切立ての
白煉瓦に、
崖を
落ちる
瀑のやうな
龜裂が、
枝を
打つて、
三條ばかり
頂邊から
走りかゝつて
居るのには
肝を
冷した。
水源を
岩井沼に
発すと
言ふ、
浦川の
流の
末が、
広く
成つて
海へ
灌ぐ
処に
近かつた。
旅館を
出てまだいく
程もない
処に——
路の
傍に、
切立てた、
削つた、
大な
巌の、
矗々と
立つのを
視た。