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切立
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きった
ふりがな文庫
“
切立
(
きった
)” の例文
あの空とあの雲の間が海で、浪の
噛
(
か
)
む
切立
(
きった
)
ち岩の上に
巨巌
(
きょがん
)
を刻んで地から生えた様なのが夜鴉の城であると、ウィリアムは見えぬ所を想像で描き出す。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
目の下の崕が
切立
(
きった
)
てだったら、宗吉は、お千さんのその声とともに、
倒
(
さかしま
)
に落ちてその場で五体を
微塵
(
みじん
)
にしたろう。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さながら井戸の如き
切立
(
きった
)
て、深さも二三丈はありまして、其の穴からまた横に掘ったのでございます。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
細くなって消え失せると、あたりが死んだように静かになる。二人は
枯草
(
かれくさ
)
の中に立って仰向いて鴉を見ると、鴉は
切立
(
きった
)
ての樹の枝に頭を縮めて鉄の
鋳物
(
いもの
)
のように立っている。
薬
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
さて一方は長者園の
渚
(
なぎさ
)
へは、浦の波が、
静
(
しずか
)
に
展
(
ひら
)
いて、
忙
(
せわ
)
しくしかも
長閑
(
のどか
)
に、
鶏
(
とり
)
の
羽
(
は
)
たたく音がするのに、ただ
切立
(
きった
)
ての
巌
(
いわ
)
一枚、一方は太平洋の
大濤
(
おおなみ
)
が、牛の
吼
(
ほ
)
ゆるがごとき声して
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
其所の腰掛の
後部
(
うしろ
)
は高い
屏風
(
びょうぶ
)
のように
切立
(
きった
)
っているので、普通の食堂の如く、広い
室
(
へや
)
を一目に見渡す事は出来なかったが、自分と一列に並んでいるものの顔だけは自由に眺められた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お京さんが、崖で夜露に
辷
(
すべ
)
る処へ、石ころ道が
切立
(
きった
)
てで危いから、そんなにとぼついているんじゃ怪我をする。お寺へ預けて、昼間あらためて、お参りを、そうなさい、という。こっちはだね。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分が
彳
(
たたず
)
んでいた七八間さきの、
切立
(
きった
)
てに二丈ばかり、沖から燃ゆるような
紅
(
くれない
)
の日影もさせば、一面には山の緑が月に映って、
練絹
(
ねりぎぬ
)
を裂くような、
柔
(
やわらか
)
な
白浪
(
しらなみ
)
が、根を一まわり結んじゃ解けて拡がる
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時緑青色のその
切立
(
きった
)
ての
巌
(
いわ
)
の、
渚
(
なぎさ
)
で見たとは趣がまた違って、亀の背にでも乗りそうな、中ごろへ、早
薄靄
(
うすもや
)
が
掛
(
かか
)
った上から、
白衣
(
びゃくえ
)
のが桃色の、水色のが白の
手巾
(
ハンケチ
)
を、二人で、小さく振ったのを
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
切立
(
きった
)
てたような、あの闇がり坂、知ってたっけか。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
切
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
立
常用漢字
小1
部首:⽴
5画
“切立”で始まる語句
切立地
切立石垣