其都度そのつど)” の例文
「そのつもりくないぢやないか」と答辯たふべんするやうなものゝ、この問題もんだい其都度そのつど次第々々しだい/\背景はいけいおくとほざかつてくのであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其都度そのつどに重蔵は自分の握飯をわかって、𤢖に仕事を手伝わせていた。が、或時これを見付けた者が有って、重蔵は山𤢖を友としているという噂がたちまち拡がった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
其都度そのつど紛失物ふんしつもの出來できますやら品物しなもの破損はそんなどはおびたゞしいことで、うすれば此樣こんなに不人情ふにんじやうものばかり寄合よりあふのか、世間一體せけんいつたい此樣このやう不人情ふにんじやうなものか、それともわたし一人ひとりなげかせやうといふので
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さうおつしやるけれど、矢張やつぱりさうばかりはおもはれないで、いぢめられていたり、でられてうれしかつたりしい/\したのを、其都度そのつど母様おつかさんをしへられて、いまじやあモウなんともおもつてない。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)