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其品
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そのしな
請取し時さし出したるなりと云に
聢と夫に相違
無やと申せば
然樣に御座りますと云時原田シテ其
脇差は何所から
買た其賣口は知て
居樣なと云れ治助は甚だ氣味
惡く思ひながら
其品は稻荷町の十兵衞と申者の
宿に於て
去月の
市に
買取たり然し其節は二十品ばかりの
買物にて賣主は
誰やら
聢とは
隱しませう
其品は
葬禮の時の
納め物なれども
然樣申上なば御
疑ひが
懸らうかと存じ
重代の品と申上しかど
實は
死人の
納め物なりと申ければ役人
扨々爾ぢは不屆き者なり此脇差は
中仙道鴻の巣の鎌倉屋金兵衞と云者の
所持の品にて其子分なる
練馬藤兵衞と云者に
貸遣したる脇差なり然る所其
後右藤兵衞
等外二人の
行衞は