)” の例文
浅間な庭の植木棚のサボテンの鉢が、風に吹きまわされ、いまにも落ちそうにしいでいるが、そんなものに眼をやる暇もない。
あなたも私も (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
しんの首をななめしげて嫣然えんぜん片頬かたほに含んだお勢の微笑にられて、文三は部屋へ這入り込み坐に着きながら
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
肥つて日焼けがして彼は自分から病気をてもらひに来たくせに、房一の呉れる薬を不審さうに眺めて、そんな病気のあることを信じないかのやうに頭をしげて
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
とその声が、ふと杜絶とぎれたかと思うと、彼女は瞳を片寄せて、耳をしげるような所作しぐさを始めた。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
底抜そこぬけにひツけた證據しやうこ千鳥ちどりあし、それをやつとみしめていへしきゐまたぎながら
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
そしてしきりに首をしげながら
闖入者 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
岬の突角をまわったすぐ裏に、びっくりするような大きな軍艦が一隻、しぎかげんにどっしりと碇泊していて、ランチが進むにつれて頭へ落ちかかるようにグングン迫ってくる。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)