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傭人
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やとひにん
それから
數日間は
主人の
家に
姿を
見せなかつた。
内儀さんは
傭人の
惡戯を
聞いて
寧ろ
憐になつて
又こちらから
仕事を
吩咐けてやつた。
「どうだね、
一燻べあたつたらようがせう、
今直に
明くから」と
傭人がいつてくれてもお
品は
臀から
冷えるのを
我慢して
凝然と
辛棒して
居た。
次の
日巡査は
隣の
傭人を
連れて
來て
壁際の
木の
根を
檢べさせたが
櫟の
根は
案外に
少かつた。それでもおつぎの
手では
棄て
切れなかつたのである。