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倐
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たちま
ふりがな文庫
“
倐
(
たちま
)” の例文
舟は
倐
(
たちま
)
ち暗黒の裡に衝いて奔り、人は急転の勢を制する暇なく、以上ただ運命の司配に任すありしのみ。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
わたくしは抽斎の事を叙する
初
(
はじめ
)
において、天保十二年の暮の作と認むべき抽斎の述志の詩を挙げて、当時の渋江氏の家族を数えたが、
倐
(
たちま
)
ち来り倐ち去った
女
(
むすめ
)
好の名は
見
(
あら
)
わすことが出来なかった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
此
(
こ
)
の
色
(
いろ
)
三つを
重
(
かさ
)
ねて、ひた/\と
映
(
うつ
)
つて、
藍
(
あゐ
)
を
浮
(
うか
)
べ、
緑
(
みどり
)
を
潜
(
ひそ
)
め、
紅
(
くれなゐ
)
を
溶
(
と
)
かして、
寄
(
よ
)
る
波
(
なみ
)
や、
返
(
かへ
)
す
風
(
かぜ
)
に、
紅紫
(
こうし
)
千
輪
(
りん
)
の
花
(
はな
)
忽
(
たちま
)
ち
敷
(
し
)
き、
藍碧万顆
(
らんぺきばんくわ
)
の
星
(
ほし
)
倐
(
たちま
)
ち
開
(
ひら
)
いて、
颯
(
さつ
)
と
流
(
なが
)
るゝ七
彩
(
さい
)
の
虹
(
にじ
)
の
末
(
すゑ
)
を
湖心
(
こしん
)
最
(
もつと
)
も
深
(
ふか
)
き
処
(
ところ
)
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
造営
就
(
な
)
るをつげ、その供養の日、導師をつとめたる紫袈裟の破戒法師(玄昉)は、
倐
(
たちま
)
ち虚空の中に捉へ去られ、その首、のちに興福寺の唐院に墜ちたりと、世の人伝へて広嗣が霊の祟となす。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
倐
部首:⼈
10画
“倐”を含む語句
倐忽
倐然