俊寛しゅんかん)” の例文
これは琵琶法師も語る事ですが、その日もかれこれ暮れかけた時分、わたしはやっと俊寛しゅんかん様に、めぐりう事が出来ました。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「こりゃああぶないぜ、吉植君、これから上陸する時には、よほど気をつけないと、それこそ鬼界きかいしま俊寛しゅんかんものだよ。」
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
わけても、極刑にひとしい厳罰をうけたのは、鹿ししたに俊寛しゅんかんであった。流されて行く先が、鬼界ヶ島と聞いただけでも、人々は魂をおののかせた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
康頼も成経なりつね俊寛しゅんかんも、一年間の孤島生活で、その心も気力も、すっかり叩きのめされてしまっていた。
俊寛 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
彼らがいつも好んで寄り集りの場所にしたのは、鹿ヶ谷ししがたににある、これも同志の一人俊寛しゅんかんの山荘である。
入舟などのあるたびに、恥も忘れて近よってくるのが常の習いであったらしい。この句はその俊寛しゅんかんのようなあわれな姿が目に浮かぶのである。次には『初茄子はつなすび』の最初の一巻に
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
物のほんで見た鬼界ヶ島の俊寛しゅんかん! それさながらの人間が、そこに群れているのである。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
俊寛しゅんかん云いけるは……神明しんめいほかになし。ただ我等が一念なり。……唯仏法を修行しゅぎょうして、今度こんど生死しょうしを出で給うべし。源平盛衰記げんぺいせいすいき
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いちばんの重罪は、文観僧正で、これは、平家のむかし俊寛しゅんかんがやられた鬼界きかいヶ島しま——つまり硫黄島いおうとう流しときまった。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奈良朝時代の雅楽衣裳、同じく太鼓、同じく笛、大飛出おおとびで、小飛出、般若はんにゃ俊寛しゅんかん、少将、釈迦などの能の面、黄龍を刺繍ぬいした清国の国旗、牧溪ぼくけい筆らしい放馬の軸、応挙筆らしい大瀑布の屏風
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
俊寛しゅんかん様はやはり今でも、あの離れ島の笹葺ささぶきの家に、相不変あいかわらず御一人悠々と、御暮らしになっている事でしょう。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
法皇の行幸みゆきはなかったが、すでに、暮れる前から、鹿ヶ谷の俊寛しゅんかんの山荘には、新大納言以下、不平組の文官や武官が、おのおの、微行しのびのすがたで集まっていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
俊寛しゅんかんは、多感な人だった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やま俊寛しゅんかん
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)