くわ)” の例文
旧字:
フト何処どこかの隅っこで飛んでもない事柄にくわすような気がした。何かしら素晴しいものが発見できそうにも思われた。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「悪かった! 途中で出っくわしたか。ウウム、こういうことになるなら、知らせておくんじゃなかったのに」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
又は大地震に出っくわした時とかに、覚えず知らず時計を見る癖があるものですが、私がその時ふいと時計を出して見たのも大方それに似たような気持だったでしょう。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
わからない文字に出くわす度にヌエはそばから日本の辞書を引いて説明してれた。七篇のうちで「新しい建物に」と云ふ詩は近頃の君の象徴だらうと云つたら、ヌエは淋しさう微笑ほゝゑんでうなづいた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
俺はまだ君のような対手あいてに出っくわしたことがない。ガニマールでもショルムスでも俺はいつも奴らをなぶってやったんだ。だが俺は白状するが、今は俺の方が君に負けていると見なければならない。
「へんなところで、でッくわしたな。目がわるいようすだから、一つ、からかッてやろうかしら」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こういうことにくわすと、がんらい、ジッとしていられない性分しょうぶん
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)