伊勢屋いせや)” の例文
「病人はありました、松永町の伊勢屋いせやの隠居、——これはもう長い間の病人でだいぶよくなっていたんだが、近頃の暑さでぶり返しましてな」
亭「へゝゝゝゝ御心配はありませんから、奥の六畳は伊勢屋いせやの蔵の側で彼処あすこは誰にも知れませんから彼処にしましょう」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今食う米が無くて、ひもじい腹をかかえて考え込む私達だ。そんな伊勢屋いせやの隠居が心学に凝り固まったような、そんな暢気のんきな事を言って生きちゃいられん!
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
伊勢屋いせやの男共は見付さてこそ盜人は此坊主ならんと大勢にてなんなく旅僧を捕へたり三郎兵衞べゑは家内を改め見るに金五百兩あらねば金は何所へ隱せしぞと彼の旅僧を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
出す事ゆゑ忠八此金このかね算段さんだんせられよと申ければ忠八は打悦うちよろこび其金子かなら調達てうだついたすべしわたくし一ツの工夫くふうありとて清三郎に耳語さゝやきたの其夜そのよ油町あぶらちやう新道しんみち伊勢屋いせや三郎兵衞方へしのび入て金五百兩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
雲源うんげんと申十五さいとき出家仕しゆつけつかまつり候へども幼少えうせうよりぬすこゝろあり成人せいじんなすにつけ尚々なほ/\相募あひつのすでに一昨夜さくや伊勢屋いせやしのいりて金五百兩ぬすみ取其隣の金屋かなやとやらんへも忍入しのびいつぬすいたし出る處を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)