仲立なかだち)” の例文
それに多くの方々によく知られている品物であるだけに、語るのに都合のよい仲立なかだちであると思われます。
益子の絵土瓶 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
立派な家庭の人として仲立なかだちして上げるべきはずなのに、それをせずに、こうして、いい気になって、娘ざかりをあだに過させ、今後とても、そういう希望を以て
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
はんかなあまい/\甘酒あまざけ赤行燈あかあんどうつじゆれば、そ、青簾あをすだれ氣勢けはひあり。ねや紅麻こうまえんにして、繪團扇ゑうちは仲立なかだちに、蚊帳かやいと黒髮くろかみと、峻嶺しゆんれい白雪しらゆきと、ひとおもひいづれぞや。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だが、池内という仲立なかだちにそむかれては、手も足も出ない彼であったから、そうして、芙蓉と会わぬ日が長引くに従って、耐え難き焦燥しょうそうを感じないではいられなかった。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ところがおときも小遣にも不自由する身の上なので、たうとう野呂の望をかなへさせたが、驚く事には其の仲立なかだちは、今でも引續いて野呂のお伽をつとめて居るお米だつた。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
さて生活と美しさとを結ばしめる仲立なかだちは、実に用途のために作られる器物であります。それ故日々用いる器物がどんなに美の世界で大切な位置を占めるかが分るでありましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)