仮面かめん)” の例文
旧字:假面
しかもけっして既成きせいつかれた宗教しゅうきょうや、道徳どうとく残滓ざんしを、色あせた仮面かめんによって純真じゅんしん心意しんい所有者しょゆうしゃたちにあざむあたえんとするものではない。
それが追々おいおい笑って済ませなくなるまでには、——この幽鬱な仮面かめんに隠れている彼の煩悶はんもんに感づくまでには、まだおよそ二三箇月の時間が必要だったのです。
開化の良人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そして、頭には服にぬいつけた三角型のトンガリ頭巾ずきんをスッポリかぶり、顔には大きな仮面かめんをつけていた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
本来は物詣ものまいりの帰りに求めてくるのが主であって、したがってその種類も限られており、だいたいにお祭に伴なうものばかり、たとえば簡単な仮面かめんとか楽器とか
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
金をうけとる算段さんだん商人あきんどが、いったん、金を出すがわに立つとなると、まるでふところで仮面かめんをスリかえたほど苦もなく全人格をかえてしまうが、今の新助もそんなふうで、ポンと
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
代助は、ちゝとしては寧ろ露骨過ぎる此政略的結婚の申しいでに対して、今更驚ろく程、始めからちゝを買ひ被つてはゐなかつた。最後の会見に、ちゝが従来の仮面かめんいでかつたのを、寧ろこゝろよく感じた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あの仮面かめんをばわれ知れり。
マスクの中からは黒い二つの眼がのぞいていたが、これは一種の仮面かめんであって、人間に会っても相手をおどろかせないための深い注意から設計されたものであった。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
同人雑誌「仮面かめん」を出してゐた日夏耿之介ひなつかうのすけ西条八十さいでうやそ森口多里もりぐちたりの諸君である。僕は一二度山宮允さんぐうまこと君と一しよに、赤い笠の電燈をともした西条君の客間へ遊びに行つた。
「仮面」の人々 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
『おふさ! もうてめえ仮面かめんはきかねえぞ』
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「きみこそ金属Qだ。そんなにがんばるのなら、仮面かめんをはいでやるぞ」
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「さてこそ、変心組が仮面かめんを脱いだな」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仮面かめんを取れば
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
仮面かめん師父しふ
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)