あた)” の例文
一席申し上げます、是は寛政十一年に、深川元町ふかがわもとまち猿子橋さるこばしぎわで、巡礼があたを討ちましたお話で、年十八になります繊弱かよわい巡礼の娘が、立派な侍を打留うちとめまする。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
御釜の音なかりしは、祝部等はふりたちが身の清からぬにぞあらめ。既に聘礼しるしを納めしうへ、かの四三赤縄せきじようつなぎては、あたある家、ことなるくになりともふべからずと聞くものを。
あたをしそうな様子も見えぬので、恐ろしいとも思わぬのである。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
おい一日ひとひ落花もあたに踏むまじく
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
此の後もあたをもて報い給はば、君が御身のみにあらじ、此のさとの人々をもすべて苦しきめ見せなん。
女ながらもあたを討たぬと云う事はないと心掛けても、うも相手は立派なさむらいであり、女の細腕では討つ事ならず、たれを助太刀に頼もう、親切な人はないかと思う処へ、ちかしく出入でいりを致す山平殿
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)