丸心まるじん)” の例文
なるほど火屋ほやが薄黒くくすぶっていた。丸心まるじん切方きりかたたいらに行かないところを、むやみにを高くすると、こんな変調を来すのがこの洋燈の特徴であった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
御米およねとこ這入はいつてから、やく二十ぷんばかりあひだ宗助そうすけみゝはた鐵瓶てつびんおときながら、しづかよる丸心まるじん洋燈らんぷらしてゐた。かれ來年度らいねんど一般官吏いつぱんくわんり増俸ぞうほう沙汰さたがあるといふ評判ひやうばんおもうかべた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
御米がとこ這入はいってから、約二十分ばかりの間、宗助は耳のはた鉄瓶てつびんの音を聞きながら、静な夜を丸心まるじん洋灯ランプに照らしていた。彼は来年度に一般官吏に増俸の沙汰さたがあるという評判を思い浮べた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)