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不犯
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ふぼん
ふりがな文庫
“
不犯
(
ふぼん
)” の例文
走り湯の
法音比丘尼
(
ほうおんびくに
)
は
不犯
(
ふぼん
)
の
聖尼
(
せいに
)
であるといわれていた。男禁制の森に住んで、そこには近くの伊豆山権現の法師等さえ立ち入れなかった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先住の高風に比べれば百難あつたが、彼も
亦
(
また
)
一生
不犯
(
ふぼん
)
の戒律を守り、専ら一酔また一睡に一日の悦びを托してゐた無難な坊主のひとりであつた。
閑山
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
茫々
乎
(
こ
)
として万事、皆夢の如し。わが曾て
岳父御
(
しうとご
)
に誓ひし一生
不犯
(
ふぼん
)
の男の貞操は、かくして、あとかたも無く破れ了んぬ。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
何の事だ?
些
(
ちッ
)
とも分らん。完全を求めて得られんなら、悶死すべきでないか?
不犯
(
ふぼん
)
が理想で、女房を貰って、子を生ませていたら、普通の堕落に輪を掛た堕落だ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
しかし彼らの愛欲がそれで充足させられたろうとは考え難い。あるものはついに
不犯
(
ふぼん
)
の誓いを破ったであろう。あるものは数年の後に
還俗
(
げんぞく
)
したであろう。それは自然のなりゆきである。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
▼ もっと見る
「しかし、僧正の
時雨
(
しぐれ
)
のお歌は、あまりにも、実感がありすぎるというて、女を知らぬ
不犯
(
ふぼん
)
の僧に、かような
和歌
(
うた
)
の作れるわけはないというのです」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此哲人は
如何
(
どん
)
な事を言っている。クロイツェル、ソナタの跋に、理想の完全に実行し得べきは真の理想でない。完全に実行し得られねばこそ理想だ。
不犯
(
ふぼん
)
は
基督教
(
キリストきょう
)
の理想である。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「さらば問うが、
不犯
(
ふぼん
)
の
聖
(
ひじり
)
たる僧正が、あのような
艶
(
なま
)
めかしい恋歌を詠み出でたは、そも、どういう
心情
(
こころ
)
か」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一生
不犯
(
ふぼん
)
などと、
聖
(
ひじり
)
めかしてはおわすが、実は、人知れず
香
(
こう
)
を
袂
(
たもと
)
に盗んで口を
拭
(
ふ
)
く
類
(
たぐい
)
で、
祇園
(
ぎおん
)
のうかれ
女
(
め
)
の
墻
(
かき
)
も越えているのだろう、
苦々
(
にがにが
)
しい限りである、仏法の
廃
(
すた
)
れゆくのも
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
犯
常用漢字
小5
部首:⽝
5画
“不”で始まる語句
不可
不思議
不憫
不図
不味
不審
不埒
不幸
不愍
不相変