三国さんごく)” の例文
旧字:三國
三国さんごく孫休そんきゅうのときに、一人の戍将じゅしょう広陵こうりょうを守っていたが、城の修繕をするために付近の古い塚を掘りかえして石の板をあつめた。
孔融こうゆう三国さんごく時代の人であるが、この話が十八世紀のフランスに伝はつて、ヴオルテエルの逸話になつたとは考へられない。
才一巧亦不二 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
梓山では前記の通り三方山と呼んでいた。故荻野氏の記行には甲州で三国さんごく山と称することが断ってある。しかし今では甲武信岳の名が広く認められて了った。
秩父の奥山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
絶食するに至って初めて方便をめぐらすべきである。「三国さんごく伝来の仏祖、一人いちにんも飢ゑにしこごにしたる人ありときかず。」世間衣糧の資は「生得しょうとく命分みょうぶん
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
森を高く抜けると、三国さんごく見霽みはらしの一面の広場に成る。かっる日に、手廂てびさししてながむれば、松、桜、梅いろ/\樹のさま、枝のふりの、各自おのおの名ある神仙しんせんの形を映すのみ。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
水中に一根の稲が生じ、毎年里の稲よりも少し早く実を結ぶ。土俗その穂の大小を試みて、秋熟の善悪を察するに果して兆のごとしと、『三国さんごく名勝図会』に見えている。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
さばれ爾が尾いまだ九ツにけず、三国さんごく飛行ひぎょうの神通なければ、つひにおぞくも罠に落ちて、この野の露と消えんこと、けだしのがれぬ因果応報、大明神の冥罰みょうばつのほど、今こそ思ひ知れよかし。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)