一斉いつせい)” の例文
旧字:一齊
その時君達のだれも彼もが、ちやうど教室で算術や読み方の問題を、きかれたときのやうに、一斉いつせいに手を上げられることを望んでゐる。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
声をつらね筆をそろへて一斉いつせいに之を讒謗ざんばう攻撃していはく「軍国多事のげきに乗じて此事をなすづ売国の奸賊をちゆうして征露軍門の血祭ちまつりせざるべからず——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
門辺かどべにありたる多くのども我が姿を見ると、一斉いつせいに、アレさらはれものの、気狂きちがいの、狐つきを見よやといふいふ、砂利じやり小砂利こじやりをつかみて投げつくるは不断ふだん親しかりし朋達ともだちなり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しかし森の鳥はことごとく、疑深さうな眼つきを改めなかつた。のみならず一羽のふくろふが、「あいつも詐偽師の仲間だぜ。」と云ふと、一斉いつせいにむらむらおそひかかつて、この孔雀をも亦突き殺してしまつた。
翻訳小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
一斉いつせい礼拝をろがみをは老若らうにやくの消え入るさけび。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かはづ一斉いつせいきはじめる。もりくらくなつて、やまえなくなつた。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一斉いつせいに、燦爛たるその飛沫しぶき
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
一斉いつせい冷血れいけつのわななきは
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)