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りつしん
土をなめても
是れを
立身の
手始めにしたき
願ひと、
我れながら
宜くも
言へたる
嘘にかためて、
名前をも
其通り、
當座にこしへらて
吾助とか
言ひけり
長吉にはもつと身分
相応な
立身の
途がありさうなものだといふ気がした。
探り若し引取ずんば其時は何を
爲てなりとも
繁華の江戸ゆゑ親子二人
渡世のならぬ事は有まじ
若運よく
立身いたしなは今の
難儀せし
面を
見返さん何は兎もあれ
一先江戸へ出べしとて夫より
世帶を
計らんものと思ひ
込けるは
殊勝成ども一心に醫學を學び其
術を以て
立身出世を望むに有ねば元より
切磋琢磨の功を
積修行せんなどとは更に思はず
大切の
人命を預る
醫業なるに只金銀を
貪ぼることのみを