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まどあかり
博士が
旅行をした
後に、
交際ぎらひで、
籠勝ちな、
此の
夫人が
留守した
家は、まだ
宵の
間も、
實際蔦の
中に
所在の
知るゝ
山家の
如き、
窓明。
博士が
旅行をした
後に、
交際ぎらひで、
籠勝ちな、
此の夫人が留守した家は、まだ
宵の
間も、実際
蔦の中に
所在の
知るゝ
山家の如き、
窓明。
湯氣が
温く、
目の
下なる
湯殿の
窓明に、
錦葉を
映すが
如く
色づいて、むくりと
此の
二階の
軒を
掠めて、
中庭の
池らしい、さら/\と
鳴る
水の
音に
搖れかゝるから、
内湯の
在所は
聞かないでも
分る。